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JRAプラス10とは?

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100円元返しの実態

投稿日時:2008/12/28(日) 00:00

そもそも、100円元返しというレースは1年に何回出ているのでしょうか。

1986年から2007年までのレースを調べてみると、次のようになります。

単勝、複勝、ワイドのレースで100円元返しがありますが、他の馬券では、まだ出ていません。まだ100円元返しのない式別については、過去の最低払戻金を調べておきました。

 

式別 

100円元返し 

最低 

払戻金

単勝

54

 

複勝 

7,152

 

枠連 

0

110 

馬連 

0

110 

ワイド 

11

 

馬単

0

160 

3連複

0

110 

3連単 

0

530 

▲式別ごとの過去の100円元返しの出現数

 

 

この表でわかるように、「100円元返し」

は圧倒的に複勝が多くなっています。

なお、複勝、ワイドなどは1レースで複数の100円元返しになる場合があり、必ずしもレース数とは一致しません。

また、過去の単勝100円については、1着同着になり、その結果100円元返しになってしまったという例も含まれています。発走前には100円元返しの発表ではなかったケースもあるのです。

枠連、馬連、ワイドは過去の最低払戻金は110円でした。これらのレースは発売する馬券が多く、110円が100円まで下がることは、わずか10円ですが大変なことかもしれません。ただし、同着という可能性がありますから、これらについてもいずれ100円元返しがおきる可能性がありますが、JRAプラス10で救われることになるでしょう。

3連単は100円元返しに無縁でしょうが、どこまで最低払戻金が下がるのか興味のあるところです。

 

100円元返しを、出現した年で分類すると、次ページのようになります。

 

 

 

 

 

単勝

 

複勝

 

ワイド

 

1986

3

275

  

1987

3

302

  

1988

5

323

  

1989

3

279

 

1990

  

294

  

1991

1

345

  

1992

1

270

  

1993

2

316

 

1994

4

365

  

1995

4

339

  

1996

2

310

  

1997

4

353

  

1998

  

329

 

1999

2

325

  

2000

1

402

3

2001

2

401

  

2002

6

374

1

2003

4

333

1

2004

2

405

  

2005

3

284

3

2006

1

241

1

2007

1

287

2

▲年別の100円元返しの数

 

 

前にも説明したように、単勝と複勝の払戻金の計算方法が2005年から変わり、払戻金の額が多少は良くなりました。

その影響で、2005年以降の複勝100円元返しが減っているのだと思います。

 100円元返しと言えば圧倒的に複勝馬券であるのに、ディープインパクトの菊花賞の単勝の例を引用して「100円元返しはJRAプラス10が解決」とPRしている姿勢には疑問を持ちます。

 87ページの複勝支持率上位は、すべて2000年より前のものでした。最近のように場内テレビなどで複勝オッズ1.0という数字を見る機会が多くなれば、それ以上に人気馬券を購入するケースは減っていくいと思います。

「JRAプラス10」により、これからはまた特定の一頭の複勝が売れるというケースが出てくるでしょう。

「JRAプラス10」は、大本命を大量に買う一部の人たちのための配慮であり、少額の馬券を楽しむ庶民には関係のない話かと思いましたが、意外と複勝馬券には大きな影響が出そうなので、複勝の馬券作戦はもう一度考えなおす必要がありそうです。

複勝の支持率

投稿日時:2008/12/27(土) 00:00

今回100円元返しになった競走馬の複勝の支持率は77.2%でした。これは過去(1986年以降)の記録では第2位にあたります。過去にもなかったような飛びぬけて高い数字でもなかったのです。

つまり、過去のデータを調べてみれば、複勝については100円元返しになる場合を十分に予想できたと思います。なぜ、それをJRAが行っていなかったのかが不思議です。

 

順位

支持率

 

馬名 

1

79.74%

1988

ベッサーベルデン

2

76.96%

1990

タイフウヒダカ 

3

76.17%

1994

エイブルカグラ

4

75.32%

1987

サクラチヨノオー 

5

75.09%

1988

メインゲスト 

6

73.02%

1989

ドラゴンラリー 

7

72.67%

1989

カンキョウカンカン  

8

72.21%

1991

ユーコーハイレディ 

9

70.31%

1987

グレートプレーンズ

10

70.25%

1987

モガミチェリー 

▲複勝支持率上位10(2007年まで)

単勝の支持率

投稿日時:2008/12/26(金) 00:00

JRAの事前の説明は、ディープインパクトの菊花賞の単勝100円元返しの例を持ち出して、そのような場合でも110円の払い戻しを行いますという説明でした。

確かに、1986年以降の単勝の売上げ票数を調べても、90%以上も売れた例は一つも見つかりません。

 

順位

支持率 

 

馬名 

1

81.24%

1994

マイダイアモンド 

2

80.51%

2005

タキオンバッハ 

3

80.44%

2007

ライフストリーム 

4

80.21%

1989

アキヒロホマレ  

5

80.19%

1991

グレードバイオ 

6

79.82%

2005

インディドライバー 

7

79.81%

2006

クランエンブレム 

8

79.04%

2005

(菊花賞) 

ディープインパクト

9

78.78%

2006

ダイワディライト  

10

78.54%

2005

(神戸新聞杯) 

ディープインパクト 

▲単勝支持率上位102007年まで)

 

最高でも81.24%ですから、90.91%にはまだ遠く及びません。しかし、この過去のデータを引用して、「これからは100円元返しがなくなる」と説明するのは不適切だと思います。

私は、意外と早い時期に「100円元返し」は起きるのではないかと思い、競馬のSNSの日記には書いておきました。

場内のオッズなどで1.0が表示されていれば、誰もその馬券を買おうとはしないわけです。ですから、そのような状態にあった過去のデータは参考にはなりません。

オッズが1.0と表示されていても、「100円元返しが解消」されると思っている人がいれば、安心して買い続けることになるでしょう。ですから、特定の競走馬の馬券に集中して100円元返しは起きるのではないかと思っていました。

まさか、初日の1レースからそうなるとは思いませんでしたが。

 

前の表の、ディープインパクト以外は第1レースが5頭、第2レースが3頭のものなのです。1位と2位はどちらも第1レースです。

 

これらは、朝早いレースのために、オッズをあまり見ないで購入が続けられていたのでしょう。

本来はもっと人気を集める馬が発走時刻の遅いレースにいたかもしれませんが、100円元返しに気がつく時間が十分にあったためにそれ以上は購入されなかったので、この表には載るまでには売られなかっただけではないでしょうか。

メインレースのディープインパクトについては、記念馬券としての保存目的で100円の払戻金でも購入が続けられたわけだと思います。

当時に「JRAプラス10」が適用になっていれば、当然もっと多くの人が購入を続けたわけで、90%を超えるようなことになったかもしれません。少なくとも80%は軽く超えて90%近くにはなっていたと思います。

「JRAプラス10」が適用になれば、この単勝支持率の上位ランキングにも大きな変化があることは間違いないでしょう。

なぜ元返しになったのか

投稿日時:2008/12/25(木) 00:00

100円元返しになった理由を、JRAのホームページでは次のように説明しています。

 

京都1Rの2番コロナグラフ(1着)の複勝払戻金は100円となりました。これは、賭式毎(今回のケースでは複勝式)に“払戻金総額”と“上乗せすべき金額の総額”の合計が“売上げの総額”を超えたために、競馬法附則第5条第3項の規定により、JRAプラス10の対象外となったものでした。

 

これを、具体的に検証してみましょう。

 

着外になった競走馬に投票された票数の合計は142,317になります。この不的中になった票数を3等分すると47,439になりますが、これを1~3着に入線した3頭に、次ページの表のように分配します。

複勝の払戻金の計算は、1~3着に入線した各馬について、それぞれ独立して計算を行うのです。

 

 

馬番 

的中 

票数 

不的中票数 

合計 

02

609,528

47,439

656,967

03

8,938

47,439

56,377

01

28,448

47,439

75,887

100円元返しになったケース

 

この表で、02番についての払戻金の計算をすると90円ということになりますが、最低の払戻金は100円ですから、100円が払戻金になります。これを110円にしてしまうと、次のように02番の合計票数を超えてしまうことがわかります。

 

609,528×1.1670,480.8 > 656,967

 

1.1 をかけて1を上回るには90.91%以上の票数が必要ですが、上の02番の場合は約92.8%の数字になっていたわけです。

 

これでプラス10の適用ができないと、1頭だけで判断してはいけません。ホームページにあるように賭式毎(今回のケースでは複勝式)に考えないといけないのです。

03番と01番の払戻金をPart2で紹介した計算式で行うと、それぞれ620円、250円になります。これらは「JRAプラス10」を適用しても、払戻金には変化がありませんから、この2頭からは利益が出ています。

02番の払戻金を110円にした場合、02番だけを考えた場合には赤字になっても、この2頭からの利益のおかげで全体の売上額を超えていなければ、プラス10を適用して110円にすることになります。

 

馬番 

票数 

プラス10

プラス10の払戻金

02

609,528

110

67,048,080

03

8,938

620

5,541,560

01

28,448

250

7,112,000

プラス10を適用したとき 

79,701,640

売上げの総額 

78,923,100

100円元返しになった理由

 

実際に計算をすると、上の表のようになり、プラス10を適用すると売上げの総額を超えてしまいます。したがって、今回は100円元返しということになったわけです。.

 

人気馬が消えていたら?

投稿日時:2008/12/24(水) 10:08

このレースで7番の複勝を買った人は、「人気の2番が着外になれば、高配当になる」と思ったことでしょう。複勝は一般的に払戻金額が低いので、この馬券を無視してきた人たちも複勝に興味を持ってきたのだと思います。

この7番の複勝オッズは1.33.8 を示していました。2番が来ても1.3倍ありますし、消えればもっと良い配当になるからです。

結果は2番が1着で、7番が4着でした。2番の複勝は100円元返しになり、最初のレースから「思わぬ例外」が発生してしまいました。

 

なお、もし1番人気の2番が4着以下で、2番人気の7番が1着だったとすると次のように払戻金が変わります。

 

馬番 

払戻金

 

馬番

払戻金 

2

100

 

7

360

3

620

 

3

2,120

1

250

 

1

720

▲左が実際の払戻金、右は2番でなく7番のとき

 

 

複勝ですから、7番は1着でなく3着でもよいのですが、2番と7番が入れ替わると3番や1番の払戻金が大幅に変わってきます。

 

人気馬の複勝馬券が集中すると、このように本命馬が消える場合を期待して穴党も複勝を買うようになるわけです。

 

JRAでは、最初のレースから100円元返しが出るとは思っていなかったでしょうが、早い時期に「100円元返し」が登場したことは、JRAにとって幸いだったかもしれません。

100円元返しが解消!」ということで、最初から「JRAプラス10」適用の110円の払戻金が続出していて複勝人気が高まった後で「100円元返し」が飛びたしたら、多くの人がクレームを言い出すかもしれません。そういう意味で、誤解を解消するためにも、早い時期に出たことは良いPRになったと思います。

 

 

 

 

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