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JRAプラス10とは? 2008/12

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単勝の支持率

投稿日時:2008/12/26(金) 00:00

JRAの事前の説明は、ディープインパクトの菊花賞の単勝100円元返しの例を持ち出して、そのような場合でも110円の払い戻しを行いますという説明でした。

確かに、1986年以降の単勝の売上げ票数を調べても、90%以上も売れた例は一つも見つかりません。

 

順位

支持率 

 

馬名 

1

81.24%

1994

マイダイアモンド 

2

80.51%

2005

タキオンバッハ 

3

80.44%

2007

ライフストリーム 

4

80.21%

1989

アキヒロホマレ  

5

80.19%

1991

グレードバイオ 

6

79.82%

2005

インディドライバー 

7

79.81%

2006

クランエンブレム 

8

79.04%

2005

(菊花賞) 

ディープインパクト

9

78.78%

2006

ダイワディライト  

10

78.54%

2005

(神戸新聞杯) 

ディープインパクト 

▲単勝支持率上位102007年まで)

 

最高でも81.24%ですから、90.91%にはまだ遠く及びません。しかし、この過去のデータを引用して、「これからは100円元返しがなくなる」と説明するのは不適切だと思います。

私は、意外と早い時期に「100円元返し」は起きるのではないかと思い、競馬のSNSの日記には書いておきました。

場内のオッズなどで1.0が表示されていれば、誰もその馬券を買おうとはしないわけです。ですから、そのような状態にあった過去のデータは参考にはなりません。

オッズが1.0と表示されていても、「100円元返しが解消」されると思っている人がいれば、安心して買い続けることになるでしょう。ですから、特定の競走馬の馬券に集中して100円元返しは起きるのではないかと思っていました。

まさか、初日の1レースからそうなるとは思いませんでしたが。

 

前の表の、ディープインパクト以外は第1レースが5頭、第2レースが3頭のものなのです。1位と2位はどちらも第1レースです。

 

これらは、朝早いレースのために、オッズをあまり見ないで購入が続けられていたのでしょう。

本来はもっと人気を集める馬が発走時刻の遅いレースにいたかもしれませんが、100円元返しに気がつく時間が十分にあったためにそれ以上は購入されなかったので、この表には載るまでには売られなかっただけではないでしょうか。

メインレースのディープインパクトについては、記念馬券としての保存目的で100円の払戻金でも購入が続けられたわけだと思います。

当時に「JRAプラス10」が適用になっていれば、当然もっと多くの人が購入を続けたわけで、90%を超えるようなことになったかもしれません。少なくとも80%は軽く超えて90%近くにはなっていたと思います。

「JRAプラス10」が適用になれば、この単勝支持率の上位ランキングにも大きな変化があることは間違いないでしょう。

なぜ元返しになったのか

投稿日時:2008/12/25(木) 00:00

100円元返しになった理由を、JRAのホームページでは次のように説明しています。

 

京都1Rの2番コロナグラフ(1着)の複勝払戻金は100円となりました。これは、賭式毎(今回のケースでは複勝式)に“払戻金総額”と“上乗せすべき金額の総額”の合計が“売上げの総額”を超えたために、競馬法附則第5条第3項の規定により、JRAプラス10の対象外となったものでした。

 

これを、具体的に検証してみましょう。

 

着外になった競走馬に投票された票数の合計は142,317になります。この不的中になった票数を3等分すると47,439になりますが、これを1~3着に入線した3頭に、次ページの表のように分配します。

複勝の払戻金の計算は、1~3着に入線した各馬について、それぞれ独立して計算を行うのです。

 

 

馬番 

的中 

票数 

不的中票数 

合計 

02

609,528

47,439

656,967

03

8,938

47,439

56,377

01

28,448

47,439

75,887

100円元返しになったケース

 

この表で、02番についての払戻金の計算をすると90円ということになりますが、最低の払戻金は100円ですから、100円が払戻金になります。これを110円にしてしまうと、次のように02番の合計票数を超えてしまうことがわかります。

 

609,528×1.1670,480.8 > 656,967

 

1.1 をかけて1を上回るには90.91%以上の票数が必要ですが、上の02番の場合は約92.8%の数字になっていたわけです。

 

これでプラス10の適用ができないと、1頭だけで判断してはいけません。ホームページにあるように賭式毎(今回のケースでは複勝式)に考えないといけないのです。

03番と01番の払戻金をPart2で紹介した計算式で行うと、それぞれ620円、250円になります。これらは「JRAプラス10」を適用しても、払戻金には変化がありませんから、この2頭からは利益が出ています。

02番の払戻金を110円にした場合、02番だけを考えた場合には赤字になっても、この2頭からの利益のおかげで全体の売上額を超えていなければ、プラス10を適用して110円にすることになります。

 

馬番 

票数 

プラス10

プラス10の払戻金

02

609,528

110

67,048,080

03

8,938

620

5,541,560

01

28,448

250

7,112,000

プラス10を適用したとき 

79,701,640

売上げの総額 

78,923,100

100円元返しになった理由

 

実際に計算をすると、上の表のようになり、プラス10を適用すると売上げの総額を超えてしまいます。したがって、今回は100円元返しということになったわけです。.

 

人気馬が消えていたら?

投稿日時:2008/12/24(水) 10:08

このレースで7番の複勝を買った人は、「人気の2番が着外になれば、高配当になる」と思ったことでしょう。複勝は一般的に払戻金額が低いので、この馬券を無視してきた人たちも複勝に興味を持ってきたのだと思います。

この7番の複勝オッズは1.33.8 を示していました。2番が来ても1.3倍ありますし、消えればもっと良い配当になるからです。

結果は2番が1着で、7番が4着でした。2番の複勝は100円元返しになり、最初のレースから「思わぬ例外」が発生してしまいました。

 

なお、もし1番人気の2番が4着以下で、2番人気の7番が1着だったとすると次のように払戻金が変わります。

 

馬番 

払戻金

 

馬番

払戻金 

2

100

 

7

360

3

620

 

3

2,120

1

250

 

1

720

▲左が実際の払戻金、右は2番でなく7番のとき

 

 

複勝ですから、7番は1着でなく3着でもよいのですが、2番と7番が入れ替わると3番や1番の払戻金が大幅に変わってきます。

 

人気馬の複勝馬券が集中すると、このように本命馬が消える場合を期待して穴党も複勝を買うようになるわけです。

 

JRAでは、最初のレースから100円元返しが出るとは思っていなかったでしょうが、早い時期に「100円元返し」が登場したことは、JRAにとって幸いだったかもしれません。

100円元返しが解消!」ということで、最初から「JRAプラス10」適用の110円の払戻金が続出していて複勝人気が高まった後で「100円元返し」が飛びたしたら、多くの人がクレームを言い出すかもしれません。そういう意味で、誤解を解消するためにも、早い時期に出たことは良いPRになったと思います。

 

 

 

 

複勝馬券の馬券作戦に影響がありそう

投稿日時:2008/12/23(火) 17:24

「JRAプラス10」では元返しが解消されるので、安心して大本命の馬券が買えるという点が大きな利点だと思います。ただ、この「安心して買える」というのは、たくさんの馬券を買いたいが110円で戻ってくるなら買うが、100円元返しなら買わないというごく一部の人の話だと思います。少なくとも、筆者には関係のない話です。それだけでなく、「JRAプラス10」により複勝の売れ方が変わってしまい、今までの複勝馬券に関する統計の継続性がなくなってしまうことは迷惑なことだと考えていました。

しかし、この「元返しが解消!」というPR効果は十分にあったようで、この制度により、今後は確実に複勝馬券が売れることになるでしょう。「JRAプラス10」は複勝だけが対象ではありませんが、一番効果があるのは複勝馬券だからです。

また、穴党の競馬ファンも複勝に注目してきたのだと思います。

複勝が異常に売れた

投稿日時:2008/12/22(月) 17:16

中間オッズは、「JRAプラス10」を含んで表示されることになりましたので、早い時期から1.01.0あるいは1.01.1を表示していました。つまり、この馬の馬券は、100円元返しになる可能性が非常に高いことが予告されていたのです。

 

それでも複勝馬券は売れ続けました。

 

発表

時刻 

複勝

票数

9:01

39,653

9:06

48,906

9:11

58,462

9:16

67,136

9:21

78,435

9:26

88,096

9:31

102,933

9:36

129,234

9:41

161,505

9:46

198,782

9:51

276,858

9:55

344,125

10:00

553,251

10:07

789,231

2008年1月5日京都競馬1レース

 

 

馬券の1票は100円ですから、この日は朝早くから8,000万円近くの複勝馬券が売れたわけです。直前の16分間に5,000万円が売れています。オッズを見ない人もいるわけですから、当たれば必ず1割は戻ると思っていた人も多いことでしょう。

 

馬番 

単勝 

票数 

複勝 

票数 

複勝 

構成比

01

18,032

28,448

3.6%

02

275,019

609,528

77.2%

03

6,015

8,938

1.1%

04

3,713

5,209

0.7%

05

5,804

6,986

0.9%

06

1,169

1,336

0.2%

07

28,950

63,828

8.1%

08

2,449

4,217

0.5%

09

2,012

3,339

0.4%

10

3,590

6,620

0.8%

11

4,346

6,820

0.9%

12

5,194

8,978

1.1%

13

12,182

14,061

1.8%

14

3,446

5,692

0.7%

15

1,412

1,443

0.2%

16

8,673

13,788

1.7%

  

382,006

789,231

100.0%

▲京都1レースの馬番別複勝構成比

 

 

結局このレースは、上の表のように複勝は単勝の2倍以上売れました。また、複勝は、約77%が2番の馬番の馬券でした。

2番の複勝は単勝の2.2倍が売れていますが、これと同じように2番人気の7番の複勝も単勝の2.2倍売れているところが面白いです。2番ではなく、7番の複勝も異常に売れていたわけです。

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